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松山地方裁判所 昭和41年(わ)277号 判決

本店所在地

愛媛県上浮穴郡久万町大字菅生二番耕地一三二六番地第一

久万造林株式会社

右代表取締役

井部栄治

本籍

愛媛県上浮穴郡久万町大字入野一一四番地

住居

右同

久万造林株式会社総務課長

森川源三郎

明治四四年四月三〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官松岡幾男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人久万造林株式会社を罰金二五〇万円に、被告人森川

源三郎を懲役五月に各処する。

ただし、被告人森川源三郎に対しこの裁判確定の日から二

年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両者の平等負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人久万造林株式会社は、愛媛県上浮穴郡久万町大字菅生二番耕地一三二六番地第一に本店をおき、造林業などを営んでいるもの、被告人森川源三郎は右会社の総務課長として、右会社の業務、経理などを総括していたものであるが、被告人森川源三郎は右会社の業務に関し、昭和三八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度に、右会社に五一、二八〇、四三八円(法人税額一八、三七〇、〇六〇円)の所得があつたのに、法人税をほ脱する意図のもとに、売上げの一部を正規の経理から除外し、あるいは架空の経費を計上するなどの不正経理を行ない、その所得の一部を秘匿したうえ、確定申告期限内の昭和三九年二月二九日に松山市本町一丁目三番地四、松山税務署において、同署長に対し、所得金額二四、三六四、六八三円(法人税額八、一四一、七八〇円)と記載した内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同事業年度の法人税一〇、二二八、二八〇円をほ脱したものである。

(証拠の標目)

一、登記簿謄本一通

一、松山税務署長作成の証明書

一、押収してある総勘定元帳一冊(証第二号)金銭出納帳紙片八葉(証第六号)、社長仮払金使途明細帳一冊(証第七号)、社長仮払金明細記録二枚(証第八号)

一、加藤金四郎(四通)、大野頼和(二通)、正岡裕子、宮岡絹子、井部栄治(二通)、福岡為雄、小倉清澄、重松信一、重藤近光、東岡米一、二神一彦、池田正保、山口留次郎、高橋末男(二通)、岩岡隆、森之本茂、加藤愛明、八鬼清子の検察官に対する各供述調書

一、石丸弘明、岩岡嘉市郎、中岡武雄、小倉優、森川秀雄、森川喜十郎、山之元万太郎、高橋忠時の検察官に対する各供述調書

一、久万農業協同組合専務理事作成の預金台帳謄本二通

一、検察官作成の昭和四一年六月二七日付捜査報告書二通

一、井部栄治の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、被告人森川源三郎の検察官に対する供述調書一八通

(法令の適用)

被告人久万造林株式会社の判示所為は、昭和四〇年法律三四号による改正前の法人税法五一条一項、四八条一項(右法律三四号附則一九条)に、被告人森川源三郎の判示所為は右改正前の法人税法四八条一項(右法律三四号附則一九条)にそれぞれ該当するところ、被告人森川源三郎につき、所定刑中懲役刑を選択し、右所定罰金額または所定刑期の範囲内で、被告人久万造林株式会社を罰金二五〇万円に、被告人森川源三郎を懲役五月に各処し、被告人森川源三郎に対し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文により被告人両者の平等負担とする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 加藤龍雄 裁判官 田村秀作 裁判官 馬渕勉)

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